思い出を断捨離した。
私は腕時計に思い出があります。
何かの記念に時計をもらったり、買ったりすることが多かったからです。
最初に持った腕時計は、CASIO製のパステルカラーのbabyGでした。両親から私への誕生日プレゼントです。
次に持った腕時計は、CITIZENのソーラー式の腕時計。最初で最後の大学受験はこれで勝ち抜きました。こちらも両親からのプレゼントでした。
自分で買ったはじめての時計は、資格に合格したご褒美として購入した、オリエントの腕時計。アクセサリーのようにキラキラ輝く時計。
今、一番使っているのは、革バンドと金縁の腕時計。Cartierのタンクの形に似ている、SEIKOの偽物。本物が買えないから妥協して買ったもの。いつかは本物を買いたいな、という気持ちを忘れないためにも似たかたちのものにした記憶があります。こちらも資格に合格したご褒美として自分で自分に買いました。
親からもらった時計のうち、babyGについては、液晶が駄目になり手元にないのだけれど、CITIZENとオリエントの時計は使わないまま、ずっと保管していました。
悩んだけれど使わないものを取っておくのもスペースの邪魔なので、CITIZENとオリエントの腕時計を処分しました。腕は一本しかないわけですし。
受験競争を勝ち抜いた…とか、資格合格のご褒美に…という物語が私に時計を捨てさせるのを躊躇させていたけれど、「もういいかな」という気持ちになり、処分できました。
大人になるにつれ、昔はこんなことがあって…という物語が増えて、物が捨てにくくなります。
だけどいつまでも過去に執着していると、新しい物を取り入れていけないのでは、という危機感が私の中で勝ちました。
私も30を越えて、色々と過去の栄光にすがりたくなるときも自慢話もしたくなるときがでてきます。そういう傲慢さも一緒に捨てたくて、思い出を捨てることにしました。
手から離れてしまえば、自分の手元からなくしたことに後悔もあるかもしれない。
捨てなきゃ良かった、と思うとき、次は何を得よう、と思えるような人間になりたい。新しいことに挑戦していける自分でありたい。
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